コロナによる、世界危機。
音楽家の仕事は、真っ先にキャンセルされた。
ガンバ弾きにとって、受難曲の演奏会のキャンセルは辛い。
私にとって、ガンバを始めたきっかけとなった、バッハのマタイ受難曲。
受難節に、祈りのような音楽を奏でることは、毎年恒例のことだった。
でも、今年は・・・その一番大事な時間が省かれてしまった。
しかし、この演奏会がキャンセルになったため、
私は主人とハレに住む、もう2人の音楽家たちとともに
Alexander Agricola のLamentation Jeremiaeを歌うこととなった。
もちろん演奏会ではなく、Video撮影という形になったが、
私にとってこれは、受難節にはなくてはならない大切な時間に思えた。
もう一つ、去年の5月からもうすぐ1年続けることとなるはずの、
毎月一度満月の日の夜に集まる、ヒルデガルドの祈りと歌の会も、キャンセル。
4年に一度のスーパームーンのこの夜、歌えないのは残念だったこともあり、
この機会に歌うことができるのは、本当に幸せなことだった。
このLamentation 哀歌は、聖書の哀歌2章からなる。
旧約聖書の神は、容赦しない。壮絶な怒りによってイスラエルの民でさえも
滅ぼされる。そのコントラストは、イエスの受難の痛みとよく似ている。
この受難の時、そして、コロナの影響で、普通ではない環境。
いつもとは違う、なにか死と隣り合わせを予感させる深刻さが、
この曲の神話が、何か実話のように実感させられる。
哀歌の聖書の箇所は、何か救いがないように思えるが、
最後に、「神様、どうして私をお見捨てになったのですか・・・」の節は
まさにキリストの最後の言葉でもあり、そこに救いがあることを実感するのである。
Online-Konzert Karfreitag 2020 Johanneskirche
Alexander Agricola (um1455-1506): Lamentationes Jeremiae Prophetae /
Die Klagelieder Jeremias
Gregorianik: Responsorien zur Karwoche
Miyoko Ito – Cantus
Nora Rutte – Altus
Martin Erhardt – Tenor
Till Malte Mossner – Bassus
録音は、このサイトをクリックしてお聴きください。
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