2020年4月11日土曜日

危機という時は、チャンスでもある。

時に、思いもよらないことも起こる。
コロナによる、世界危機。
音楽家の仕事は、真っ先にキャンセルされた。
ガンバ弾きにとって、受難曲の演奏会のキャンセルは辛い。
私にとって、ガンバを始めたきっかけとなった、バッハのマタイ受難曲。
受難節に、祈りのような音楽を奏でることは、毎年恒例のことだった。
でも、今年は・・・その一番大事な時間が省かれてしまった。

しかし、この演奏会がキャンセルになったため、
私は主人とハレに住む、もう2人の音楽家たちとともに
Alexander Agricola のLamentation Jeremiaeを歌うこととなった。

もちろん演奏会ではなく、Video撮影という形になったが、
私にとってこれは、受難節にはなくてはならない大切な時間に思えた。

もう一つ、去年の5月からもうすぐ1年続けることとなるはずの、
毎月一度満月の日の夜に集まる、ヒルデガルドの祈りと歌の会も、キャンセル。
4年に一度のスーパームーンのこの夜、歌えないのは残念だったこともあり、
この機会に歌うことができるのは、本当に幸せなことだった。

このLamentation 哀歌は、聖書の哀歌2章からなる。
旧約聖書の神は、容赦しない。壮絶な怒りによってイスラエルの民でさえも
滅ぼされる。そのコントラストは、イエスの受難の痛みとよく似ている。

この受難の時、そして、コロナの影響で、普通ではない環境。
いつもとは違う、なにか死と隣り合わせを予感させる深刻さが、
この曲の神話が、何か実話のように実感させられる。
哀歌の聖書の箇所は、何か救いがないように思えるが、
最後に、「神様、どうして私をお見捨てになったのですか・・・」の節は
まさにキリストの最後の言葉でもあり、そこに救いがあることを実感するのである。
Online-Konzert Karfreitag 2020 Johanneskirche

Alexander Agricola (um1455-1506): Lamentationes Jeremiae Prophetae /
Die Klagelieder Jeremias
Gregorianik: Responsorien zur Karwoche
Miyoko Ito – Cantus
Nora Rutte – Altus
Martin Erhardt – Tenor
Till Malte Mossner – Bassus
録音は、このサイトをクリックしてお聴きください。





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