2013年4月10日水曜日

ヨハネ受難曲とWolfgangさん

                                          wolfgangさん
                                                Aubazine(フランス)


                  泊ったホテル
                         
                        パリ公演のチラシ!


                       ノートルダム



ヨハネ受難曲の演奏会で、去年と今年、ブレーメン、フランスのAubazineとパリで演奏をした時の指揮者のWolfgang Helbichさんが70歳の年で亡くなった。 
彼はberlinの指揮者、ブレーメンのDomchorの指揮者、そして、Rathschorの指揮者として、長年にわたり勤めてきた有名な方だった。 
http://de.wikipedia.org/wiki/Wolfgang_Helbich_(Kirchenmusiker) 

4月8日は、ちょうど彼の誕生日だった。 
あまりにも、急なことだったので、言葉にならないほど驚いた。 
きっと何人もの人が彼の死を悲しんだことだろう。 

つい先月、私は、Wolfgangさんの指揮でバッハのヨハネ受難曲を弾いたばかりだった。 
彼は、特にバッハをこよなく愛していて、本番中、コラールでは涙を流していた。 
適切で細やかな指導は、これまで受難曲を弾いた中でも一番素晴らしく、 
今年も一緒に演奏ができることが、とても楽しみだった。 

ヨハネ受難曲には、ガンバとアルトの” Es ist vollbracht ”成し遂げられた のアリアがある。 

Nr.30 Arie - Alt 第 30 曲 アリア (アルト) 
Es ist vollbracht ! 成し遂げられた! 
O Trost vor die gekrankten Seelen ! 病める魂に慰めあれ! 
Die Trauernacht 悲しみの夜は、 
Last nun die letzten Stunde zählen. まもなく終わろうとしている。 
Der Held aus Juda siegt mit Macht ユダの国より出た勇士は堂々たる勝利を治め、 
Und schliest den Kampf. 戦いを終えられた。 
Es ist vollbracht ! 成し遂げられた! 

この曲は、何度弾いても、なかなか気持ちが込められずにいて、 
難しい曲だった。でも、今回、彼の指導を受けて、自分なりに初めてうまく弾けたと思った。 

彼は最後、私に 「君は本当に素晴らしいガンバ弾きだ。演奏も的確で、ヒレパールも、 
さぞ、君を誇りに思うだろう。」とおっしゃった。 

そして、彼は何よりも、「沈黙」を大事にしていた。 
音と音の間にも、とても気を遣っているのがわかった。 
沈黙ほど、語るものは無い。ということも、教えてくれた。 

特に、ヨハネ受難曲の最後のコラールは、私にとってこれから忘れられない曲となるだろう。 
なぜなら、彼が、何度も演奏会中に涙を流していたから。 
きっと彼は天に召され、安らかに眠ることだろう。 

Nr.39 Chor 第 39 曲 合唱 
Ruht wohl, ihr heiligen Gebeine, 安らかに眠ってください、聖なる骸よ、 
Die ich nun weiter nicht beweine, わたしはもはや、嘆き悲しむことをいたしません。 
Ruht wohl und bringt auch mich zur Ruh! 安らかに眠り、わたしをも安息に導いて下さい! 
Das Grab, so euch bestimmet ist あなたのために定められこのお墓は、 
Und ferner keine Not umschließt, もはやいかなる苦しみにも襲われることはありません。 
Macht mir den Himmel auf それは天国の扉を開き 
und schließt die Hölle zu. 地獄への道を閉ざすのです。 

0 件のコメント:

コメントを投稿