2013年12月19日木曜日

即興演奏会

日本で12月25日に名古屋で行われます、即興演奏会。その他に最近は、ジャムセッション(即興セッション)の他、即興をする機会にとても恵まれてきている。
ちょうど去年、冷や汗をかきつつ、即興セッションをしたころより、亀の歩みほどではあるが、
だんだん、即興演奏にも慣れてきてる自分に驚く。
どうしたら、即興できるようになるんだ?と、知り合いに聞くと、時間はかかる。10年たったころ、
はっと、自分ができるようになったんだと気がつく。といってくれた。
10年、学生をして、やっとひと段落して、自分がプロだといっても、またこれから10年。
修行は、果てしなく続く。でも、辛いだけではない。
即興をすることは、インスピレーションでもあるけれど、楽譜からの解放。自由に音楽を操る
錬金術師。あるいは、ガラス玉遊戯なのだ。

私が最近手がけているのは、新しい4声マドリガルに、5声を作曲するという作業。これまた
骨の折れることだ。Quintavoxの例は、オルティスの中に紹介されている。
マドリガルはこれまで、3曲ほど仕上げてきたが、どれも、バスタルダで、各声部を自由に書いてきた。しかし、Quintavoxには、対位法をマスターし、それぞれの声部とは異なるものを
作り上げなければならない。

2月には、スイスのローザンヌで即興演奏をする。
昨日そのプログラムを作成した。
ディミヌーションによる、マドリガルの即興、
その他、2声のカノンの即興、ヘクサコードの即興、
フーガの技法。バッハのG線上のアリアによるフランス組曲の即興。
など。
特に、まだ新しいのは、ヘクサコード、(ドレミファソラ)ut re mi fa sol laの即興は始めたばかりで
難しい。けれど、楽しい。

まだ、これからやりたいことがたくさんあって、
わくわくする。



秘密の計画♡ その1

今年の秋から始まった私の8月に向けてのある秘密の計画。
知り合いの友人に頼んで、ドレスをつくってもらうことになっている。
今日、ドレスの中心の部分となる生地がインターネットで注文して届いた。
美しい絹の生地。ここだけは、時間をかけて色んなところで探した甲斐があった。
イメージの通りのものが届いた。
ネットで注文したので不安ではあったものの、大正解でした。

 
これが今日とどきました。

レースもこだわっています。
アンティークのお店で購入。すべて手編み。

これは市販のものですが、色々種類があって、
見ているだけでわくわくします。
下の生地が、ドレスの大部分となる生地。

アンティークのお店で買ったスカートのすその部分。
これもすべて手編みだそう。
本当に素敵。

ハレで知り合いになった、シュタイナー学校の先生。彼女は
2人の娘がいて、洋服づくりや、人形作りが趣味。
ハンガリー出身の彼女のお母さんは、やはり洋服づくりのプロだそうです。
とにかく、今回のドレスは、多目的に使えるように、
2枚重ねにする仕掛け。上に濃い緑色の上着をつける予定です。

出来上がりの予定図。

とにかく、洋服づくりを間近で見るのも初めてだけれど、
生地を選ぶだけでも、わくわくします。
手間をかけて作ることの喜びは、
こんなに素晴らしいことだと実感しました。

今後の過程を乞うご期待!


2013年11月17日日曜日

魂の音楽

ここ数年で、古楽が大きく変わってきている気がする。
古楽がどんどん、クラッシックに食らいついている。もはや、古楽を追究する意味さえ、見失ってきている気がする。
古楽界は、クラッシックに比べ、需要は少ない。しかし、一世代前までは、
知る人ぞ知る。というマニアックな世界として、その未知なる世界を追究しようとして
みんなが興味を示してきた。しかし、今、3,4世代となり、古楽が商業化する中、
”いかに、売れるか”ということに重点を置いたため、結局は、クラッシックとなんら変わりない世界に足を踏み入れているのだ。
ヨーロッパの古楽科の実態といえば、大学では、まずバロックのみ。
数百年のみの短い期間の音楽を狭い範囲でしか知ろうとはしない。
記譜法という時間があり、ルネッサンスや、中世を学びはするが、その実態は、宿題として、
ノートに書き写すだけ。小節線のついたモダン譜に書きなおし、それでわかったふりをする。
そんなことに意味があるだろうか。私は、それがとても腹立たしい。
バロックのオペラといえば、ヘンデルと、モンテベルディ―。
最近では、奇をてらう、演奏者が増え、何か、”新しいことへ”挑戦しようとする。が、
それも、またブレイクしては消えていくのだろう。
お金や、名誉に目がくらむと、その真理を失ってしまう。

私が最も古楽に期待したことは、そんなことではない。
私が求めてきた音楽は、宇宙への調和。神との対話。最も大いなるものと繋がる手段としての
祈り。自然との調和そのもの。それは、流れ出す泉のように自由で何にもとらわれることのない、
あるいは、即興のようにして、一瞬で消えさる永遠の宝。
そんなものを求めても、お金にならない、たわ言のように思われるかもしれない。
でも、神秘を求め続けて、その私の中から、溢れてくる音楽に耳をすませることだ。
魂の音楽をしたい!


2013年11月11日月曜日

Playground 即興音楽祭

今年もワイマールでアンサンブルThe Playfordによる即興セッション講習会が
やってきた。
演奏会は、The Playfordはもちろんのこと、Quadriga Consortがやってきた。
私は以前から気になっていた若手アンサンブルで、古楽の中では、
アイリッシュや民族音楽やポップに近い感じが心地よい音楽。
http://www.youtube.com/watch?v=HsDSMuh0xBI&list=PL7771AAB359B08256
私の好きなアンサンブルの一つだ。
彼らの演奏のすごいところは、50パーセントはアレンジしているところ。
少し、映画のサウンドトラックっぽい感じもあるが、一般的に親しみやすいところだろう。
いつも、おいしいところを狙ってる感じがいい。

演奏会の後はジャムセッション。即興演奏をした。
Quadriga Consortとのセッションは、本当に楽しかった。なんか、古楽という枠から
離れて、自由に音楽を楽しめるというのはよい意味ですごく気持ちがいい。
自分が、そんなアンサンブルをしたいかといわれると、複雑な気持ちになるが。

今回私はBernd Niedeckenのバロックダンスで参加。
Berndはトロッシンゲンで学んでいた時にも、教えてくれた先生で、今回改めて、本当にすごい指導者だと思った。
彼の指導で面白かったのは、床に寝て、バロックのポジションを練習したこと。
それによって、自然な形が生まれる。彼のダンスは、本当にすごい。指の先からも光線が伸びている感じで、
後ろを向いても、後ろに目がついていて見られている感じがする。全身に意識が行きわたっていて、
踊るということは音楽家にとっても必要不可欠だと思った。




2013年11月6日水曜日

Johann Walter (1496-1570)

今年もWittenbergの講習会がやってまいりました。
今回は、レベッカ・シュツワートと、マルティン・エアハルトによるヨハン・ヴァルターの講習会に
声楽で参加しました。これまで器楽で参加してきたので、声楽は初めての参加になりました。

レベッカとは、10年来の知り合いで、私の中では、彼女は”歌の神様的な存在”であります。
彼女はもう70歳ですが、誰よりもパワフルに活動している方です。

レベッカは、若い時に、日本やインドで音楽を学んだ後、ヨーロッパで中世・ルネッサンス音楽
を主に、古楽を宇宙的、神秘的な視点から見た音楽家と言っても過言ではないでしょう。
彼女は、現代人の失った言葉を探しに行ったアルケミストなのかもしれません。
私たちは、彼女の声に耳をすませ、またその音楽の調べを蘇らせることを望んでいます。
そこには、もう音楽という形を超え、祈りとなっていくのです。
しかし、その神技を本当に知る者は、少ない。


音とは、Klang(響き)ではなく、その振動にある。

その振動は、自然に湧きあがるまで待つ必要があり、

その音楽は、自然に歌いだすのを感じとる必要があり、

すべての五感によって、その振動を感じ取り、その交わりを楽しむことができる。

それらの振動は、”言霊”によってすべては上へと昇華する。

ルターがWittenberugで活動していた時、ヨハンヴァルターは、教会の音楽カントアーを勤め、
作曲もしていた。ルターにとっても、音楽は宗教にとって不可欠であったように、
ヴァルターの作曲した曲も、ルターの力強い信仰による言葉を受け継いでいて、
音楽よりも、祈りに、または、心の叫びに近いものを感じ取ることができます。
ルターが宗教改革を起こしたこの地で、そして、その教会で、しかも、ルターのお墓の横で
その演奏ができたことを、感動、そして感謝。




2013年10月21日月曜日

CD 録音


先週の木曜から4日間にわたり、ドイツのニュルンベルグにて、Pia Praetoriusさんの指揮のもと、
ニュルンベルグの手書譜によるルネッサンスクリスマス宗教曲を録音することになった。
www.musik-st-egidien.de


楽器の編成は、ガンバ2、ルネッサンストラベルソ4、ハープ、リュート、プサルテリー、ポルタティーフ、
ツィンク3、ポザウネ3、オルガン、レガール、スピネットと歌によるものだ。




ツィンクは、あの有名なDoron Sherwin氏で、彼の即興演奏は本当に素晴らしいものだった。
私は、彼のすぐ横で弾くというなんとも幸運な機会に恵まれ、彼の弾くディミヌーションに
聴き惚れてしまっていた。


曲目はOrland di Lasso, Palestrina, Paolo Isnardi, Hans Leo Hessler, Blasius Ammon,
Claudio Merulo などだ。すべてクリスマスのイエスの誕生にちなんだ曲の選曲で、
その信仰と、イエスを待ち望む期待感が沸き起こる、生き生きした曲だった。
特にPaolo Isnardiの曲はまだあまり知られていない作曲家であるが、
彼の作品は、ラッソにも劣ることない素晴らしい曲を書いている。

このCD録音は、今年のクリスマスに合わせて発売される予定。
2013年12月14日19時30分 ニュルンベルグ St. Egidien 教会にて演奏会




2013年9月18日水曜日

メルヒェン フェスティバル

雄牛頭という小さな山のてっぺんに、ウルズラおばあさんという70歳にもなるパワフルなおばあさんがおったそうな。
そこでは、毎年、昔話を語る語りべたちが集まって、子供たちのために、お話しをするそうな。
白いおうちの大きなお庭に、4つのテントを張って、そこには小さな椅子が並べられ、
魔女の姿に着飾った語りべたちが、龍についての物語を話し始めた・・・。




もうひとつのテントには、ハープを持った語りべが子供たちに優しく語りかけ、
ハープとドラゴンの昔話しを話したそうな。

 ドラゴンたちは、庭からひょっこり頭だけをだして、そのぎょろりとした目を光らせ、
長い舌で今にも噛みつこうとしているんじゃ。


この大きな口を開ければ、みんなおびえて逃げだすじゃろう?


家の中からも煙を吐きながら飛び出してきたドラゴン。
首を左右に動かしながら、その燃えるような目でにらみつける!


 ドラゴンの子供と、騎士たち。さあ、ドラゴンの子をやっつけろ!


小さな二人のお姫様を助けるために・・・


ここにいるのが、ウルズラおばあさん。
白髪がドレスとぴったり。とてもエレガントで、時には厳しく、時には優しく。
素敵な方でした。


ウルズラさんが、このメルヒェンのお祭りを始めたきっかけとなったのは、
或る時、子供が、テレビゲームで、平気な顔で、人々を殺すことができることを観た時、
目を疑ったそうです。それを許可する親からは、”みんな子どもたちはゲームで遊んでいるから”という返事に、唖然としたそうです。

子供には、ファンタジーが必要です。
昔話しには、善悪の区別をつける教育ができると、彼女は言います。
でも、テレビゲームは、悪を正しいとする間違った教育だと言います。

私たちに失われつつある昔話。
彼女たち語りべは、小さな力。
でも、水の中に落ちる水滴でも
大きな輪ができるように、
これからの子供たちに何かしらの影響があることを祈るばかりです。

おしまい


2013年8月23日金曜日

スウェーデン10日間 自転車の旅

先週スウェーデンに行ってきました。
10代の頃通った教会の、スウェーデンの宣教師のハンセン先生の思い出や、
18の時にハンセン先生にスウェーデンで洗礼を受けた時の思い出がよみがえりました。
今から思えば、あの頃から、私の留学のきっかけとなるすべての出会いが始まったのだと思います。
私たちはドイツの北Sassnitzから船にのって、Trelleborgに行きました。
そこから自転車で、Lund- Gardstanga- perstorp- oerkelljunga- Halmstadt-Varberg-Asa- Valla- Kungsbacka-Goeteborg
約500kmの道を自転車で走り、GoeteborgからKiellまで船で帰ってきました。

Sassnitzからフェリーに乗ってTrelleborgに行きます。

海を渡って・・・

さて、自転車の旅出発です。

各地で小さなチャペルに出会いました。ここで朝食。

最初の町Lundに到着。とても古いロマネスクの教会でした。

天文時計

柱の動物たち。奇妙な形をしています。

スウェーデンの独特な文化

ろうそく台の天使

光と影

中央、天狗のような方が・・?

水車

Halmstadt

車の通りがスウェーデンはほとんどありませんでした。
ゆく道はほとんど田舎の町。
山あり谷ありの森を何度も走り抜けました。

スウェーデンの昔ながらの建物。今でも赤い家が多いです。
緑色の草木にとてもなじんでいます。

家の建築によく見られる丸い岩。馬車などに使われた物なのでしょうか。

朝食はいつも、パンとチーズなどを買ってたべました。
ここのパンが特別おいしかった。でも、スウェーデンは、ドイツに比べて
パンの値段が高いです。

この教会でカメラを置き忘れてしまいました。
でも、ちゃんと教会の方に連絡したら、届けてくださいました。
感謝。

なので、私の写真はここでおしまい。


写真には出てきませんでしたが、旅は、素敵なことばかりではありませんでした。
何しろ、自転車の旅は私にとって初めてのことで、自転車自体、何年も乗ってない状況だったので
一日50kmは、私にとって限りなく極限に近い可能性でありました。

まるでこんなかんじ。
ですが、人間やってみるものです。こんな運動神経0の私にもできたのですから。

この日の為に何度か練習しました。ケーテンまでハレから自転車で走ったり。
寝袋も、もっていなかったので購入しました。
なかなか、キャンプで寝るというのは至難の業です。

何しろ、ベットで寝るという行為とはかけ離れたことですから。
まず、第一に、土の上で寝るということに近く、必ずしも、平らではないということ。
そして、雨の音やしずくが、近に感じること。鳥の声や、風の音、虫もたくさんやってきます。

虫ということで、ひとつ。
森には、Zeckeというダニの一種がおり、こいつが何しろ曲者でした。
私は、人生初めてZeckeにやられました。幸いなことに、何も起こりませんでした。
無事に帰還できました。

スウェーデンは、車の数が少なく、とても静かで森の豊かなところです。
自転車の観光客も多く、中には小さな子供の家族づれもいました。
夜も、日が長く22時過ぎまで明るく、天候も平均30度くらいの涼しい日が続きました。
キャンプも、キャンプ場だけでなく、プライベートや、自然保護地意外の場所ならどこでも許可されていたり、誰でも自然に親しむことができるようになっていました。

10日間の自転車は、やはり大変なものでした。
スウェーデンは、それほど高い山は無いものの、いつも山あり谷ありの坂道が多かったです。
でも、湖が美しく、泳げる地域では、とても綺麗な水で泳ぐことができます。

今回学んだことは、日常の当たり前のことが、とてもありがたく思えたこと。
もちろん、ホテル泊まりの普通の旅と違って、多くの冒険がありました。
そして、自然という存在に、圧倒され、あるいは恐れを抱き、ただ美しいだけの
、人間が作った自然に、いかに飼いならされてきたかがわかりました。

それでも、海のそばにキャンプして、夕日の美しかったことったら!
海の波の音しか聞こえない静けさは、一生忘れられない思い出となりました。



2013年7月19日金曜日

魔女修行 その2

休みの間に、化粧水、クリーム、シャンプーとヘアーリンスを作ってみました。

左から薔薇のポプリ、ラベンダーウォーター、ローズウォーター、ラベンダークリーム。
作り方

1.ローズウォーター (化粧水)
薔薇の花 1カップに対し、ウォッカ1/4カップを加え、暗いところに一週間ほど置く。
その後は、色の濃いビンに漉して使う。

2.ラベンダーウォーター
ラベンダー(生、または乾燥) 2カップに対し、沸騰させた蒸留水600mlを入れる。ウォッカ60mlとラベンダーのエッセンシャルオイルを数滴入れ、日当たりのよいところで1週間ほど置く。

3.ラベンダークリーム
市販のベビー用などの保存料の使用されていないお肌のクリーム(100ml)に、ラベンダーウォーターを大さじ1入れ、ラベンダーのエッセンシャルオイル数滴を加える。

4.ローズマリーのシャンプー
ローズマリー(6枝)と干し昆布(1枚)を水(3カップ)に入れ、20分ほど煎液を作る。それを漉して、粉末石鹸(または、細かくした石鹸)大さじ4入れ、仕上げに、ローズマリーエッセンシャルオイルを入れる。

5.ヘアーリンス
乾燥した髪用
セージ、パセリを10分ほど煎じ、冷えたら漉して、ビンに入れる。
薄めずそのまま洗面器に入れ、髪にかけ、そのまま洗いながさずに乾かす。

薔薇の花をウォッカに浸したところ。

薔薇の化粧水だけでなく、薔薇の花をウォッカと砂糖に浸すだけで、おいしいお酒もできます。
薔薇は、どんなお肌にも適していて、薫りもよく、老化を防ぐといわれてます。


 そして・・酵母に挑戦!

酵母の作り方もとても簡単。果物、野菜を沸騰した水を冷ましたものに入れ、砂糖を加えるだけ。
その後は、水を加え、少し振りつつ様子見。
多分、この後泡が出てきて発酵開始するはず・・・・。続く?
今日から、酵母を作ってみます!♪



2013年7月16日火曜日

Buxheimer Orgelbuch , Lochamer Liederbuch講習会

先週は、Buxheimer Orgelbuch, Lochamer Liederbuchの講習会がHalleで行われた。
レベッカ・シュツワートの弟子、Martin Erhardtと、Milo MachoverによるCantus modaliswoche
今回で5回目だそうだ。私は今回2回目の参加で、ドイツの15世紀の音楽には
大変興味があったので,とても楽しみにしていた。





Buxheimer-Orgelbuchのオリジナル譜は、とても特殊で、TenorとContratenorが、アルファベットで
書かれている。Discantusの旋律は、Cーschluesselで書かれており、5線譜ならぬ、7線譜(!)で書かれている。音符の読み方も、少し特殊なので慣れるまでに時間がかかる。
トリルは、音符の下に向かって線が引かれていて、(4をさかさまに書いたような形)
トリルの入れ方も、主音を保音させたまま、ひとつ下の音を連打させる特殊な形。
#やbは、Discantusは、音符に下線があり、TenorとContratenorの場合、ff=fis, cf=cis
といった書き方がされている。
Buxheimer orgelbuch "Der Winter will hin weichen"

また、私たちが今回メインとなったのは、Buxや、LochのTenorを基に、即興をする、といったことだ。簡単に説明をすると、Tenorに対して、Discantusは、6度のパラレル。
Contratenorは、Tenorに対して、3度、5度・・・(または5度3度。曲によって、どちらが和声に合うか試す)の繰り返し。
Discantusは、6度の進行を基に、メロディーを作曲する。
(この方法は、あらゆる時代の曲の即興にも使える)

D  666666
T
C  353535(または 535353)

即興にあたり、注意したいのは、16世紀のDiminutionと混合しやすいことで、それらの違いはBuxheimerには、3度の飛躍がみられることや、また、符点音符の使用も、よく見られる。
とにかく、buxheimerの曲に多く親しみ、その時代に没頭しなければ、即興は難しいと思った。

Contratenorが、3度の場合は、フォーブルドン、Fauxbourdon(偽りの低音)といって、
ブルゴーニュ楽派の作曲家たちによって中世後期から
ルネッサンス初期にかけて用いられた和声法。

Buxheimer orgelbuch(1460-1470年)
オリジナル譜と、編曲合わせて、256曲収められている。
作曲家の大半は、名無しだが、ジョン・ダイイスタブル、ギョーム・デュファイ、ジル・バンショワ、ウォルター・フライ、コンラート・パウマン。バウムガルトナーなどの曲が収められている。

オルガンで弾くケースが多いが、当時は、ポルタティーフや、リコーダ―で上声部を弾き、下声部はフィドルや、リュート、または、テノールを歌うこともできる。
そういった、アンサンブルとしての良さもあるが、ポルタティーフは、オルガンを超えた、
器楽ではなく、吹楽器としての、微妙な音のニュアンスは、音色といった魅力が伺える。


Lochamer Liederbuch

楽譜
http://imslp.org/wiki/Lochamer-Liederbuch_(Paumann,_Conrad)

Lochamer Liederbuchは、93ページにわたる、50曲ほどの3声でかかれた
コンラート・パウマンらによって作曲された曲である。
ここには、歌詞がかかれており、ドイツ語というよりも、オーストリア訛りといった感じの
言葉がそのままの形で残されている。Ein Vrouleen edel von naturenは、ドイツ語というよりは、
オランダ語訛りが強い。
それぞれ、世俗曲特有の、恋の歌は、ユーモラスなメロディーや歌詞のものも多く、
コメディーや、喜劇的なものが多い。

たとえば、"Mir ist mein pferd vernagellt gar"(Loch28, p.28)は
ある馬の話で、主人が馬のひづめを、間違えて取り付けた為、馬の脚は
悪くなる一方。主人は原因がわからなかったため、馬を新しい、雌馬と交換する。
そこで、その雌馬との恋が始まる・・・というようなお話。

その他にも"All mein gedencken dy ich hab"(Loch10 p、10)や、
"Der Wallt hat sich entlawbet"(Loch 16, p.16/17)は、男女の恋の駆け引きなどが
美しく綴られている。







2013年5月30日木曜日

メタモルフォーゼ ~次なる脱皮へ~

皆様 お久しぶりです。
大学院の卒業が間近に迫り、今の心境を綴ろうと思います。
お世話になった皆様にも、この場で感謝しつつ・・・。

このブレーメンでの2年間、あっと言う間のようで内容はぎっしり詰まったものでした。
最初は、合格はしたものの、学席が大学側の手違いで、なかなかもらえず、
ザルツブルグの大学を受験し、そちらで学生を続けていましたが、
ブレーメンの大学の席がもらえたので、ブレーメンに引っ越すことになりました。

でも、このようなきっかけがあったからこそ、Vittorio Ghielmi、Hille Perl の両方から
指導を受けることができました。この二人から得たものは
今まで以上に大きなものでした。二人は両極端な音楽家ですが、
私に欠けていたものを補うことができた、どうしても、越えていかなければ
ならなかった、出会うべくして出会った先生だったのだと、思います。

初めの一年は、コンクールのことだけを考え、必死で取り組みました。
この年になっても、まだ学生をしている自分へのみじめさや、大学を卒業してから
味わった、自分への空虚さ。今まで自分は成長できなかった。
何も手にいれてこなかったような気がして、焦りを感じました。
コンクールは、私にとって、文字通り 自分への挑戦。自分の戦いでした。
自分への自信を持つこと。それが最大なテーマでした。


結果的に、賞を頂いたものの、
結局、それは自分しか見えていなかっただけなのかもしれません。
コンクールを終え、卒業試験の準備をしつつ、完全帰国しようか、
自分の中で決着がつかず、迷っていた頃、
自分ではっきりとわかったことがありました。
自分が今まで、感動してやまなかったもの、
これからも一緒に演奏していきたい仲間、
そして、これから学んでいきたいこと。
私の目の前に、現れたひとつの形。
それは、卒業後も、ドイツに残りたいという気持ちでした。

音楽は、愛という形にメタモルフォーゼして、その続く道に歩めるように導き、
そして、自分の足で立てるように、一歩ずつアヒルの歩みのように
進んでいこうと思います。
どこにいようが、音楽とともにいる限り、私は天と地を繋ぐ、スピリチュアルな
世界とつながり、また、世界中のどんな人とも心通じ合うことのできる
素晴らしい瞬間を、味わうことができることを、何よりも感謝しています。




2013年4月23日火曜日

ルネッサンスダンス

先週末、ドイツのハレでルネッサンスダンスの講習会に参加しました。
音楽のクラスと、ダンスのクラスに分かれ、1日だけだったが盛り沢山のプログラム!
朝10時に、続々と教会の施設に集まりそれぞれのコースに分かれ、練習します。


 私は今回は、音楽に専念し、ダンスは少しだけ踊りました。
主に、ルネッサンスのダンスといえば、パヴァ―ヌ、ガリヤルド、ジーグなど。
曲はすべて、即興演奏も試みるといった、豪華なバリエーションに富むものでした。



 中でも、面白かったのは、パントマイムの披露。
ちょっとした、短い劇は、見事でした。
内容は、ある貴婦人に、貧しい男性が恋をする話。なんとか彼女を振り向かせようと、
ダンスを勉強します。そして、一緒にデートをし、ハッピーエンド。

 ダンスの合間には、豪勢な食事が。
しかも、シェフによるルネッサンス様式のお食事。
教会には、オーブンがなかったため、ちょっとしたアクシデントもあったそうです。
でも、とってもおいしかった。ローズマリーなど、ハーブがたくさん料理には使われていました。

今回、この講習会で、思いがけない出会いがありました。
それは、食事の写真の真ん中に写っているおばあさん。

彼女は現在82歳のウルズラおばあさん。とってもパワフルなお方です。
その彼女は、実は、77歳のころからあるとっておきなことを始めたそうです。

それは・・・ こどものための、朗読会。
自分のお庭に、小さな小屋を幾つも建てて、小さな子どもたちを集めて、
お話しを聴かせる、といったものです。
もちろん、あかずきんちゃんの衣装や、白雪姫の衣装も、自分たちで作って。
この日の彼女のドレスも、手作りだそうです。

彼女曰く、「最近の子供たちは、コンピューターや、ゲーム、テレビなど、
あらゆる機械的なものに支配されて、想像力が乏しくなってきているのよ。
それだけじゃなくて、子供の両親たちも、子供たちと一緒にいる時間は短くなっているわ。
子供たちは、お金じゃない、親からの愛情が必要なのよ!」と、私に力説していました。

彼女は以前から、朗読だけではなく、ルネッサンスダンスや、ルネッサンス音楽も、
一緒に取り入れて、子供たちの感性を育てる努力をしてきました。
子供たちのための朗読者を育てるアカデミーまで設立するほどの頑張り。

私は、この日、私がこれからするべき何かが見えた気がしました。
子供たちのために、ウルズラさんのようなことが、これから自分でもできたらいいのに。
と、思いました。